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2020 年度 実施状況報告書

量子コンピューティングによる他者相互作用型の行動モデルの発展

研究課題

研究課題/領域番号 20K14844
研究機関東京大学

研究代表者

浦田 淳司  東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (70771286)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード行動モデル / 相互作用 / 量子コンピューティング / 最適制御
研究実績の概要

2020年度は,量子計算実行にむけたイジングモデル型の相互作用モデルの構築を行った.量子コンピュータが組合せ最適化を解く際には,イジングモデルの形式への定式化が必要となる.そこで,基とする相互作用を考慮した社会的相互作用モデル(ローカルインタラクションモデル)をイジングモデル型(QUBO型)に再定式化した.QUBO型に変形することで,量子計算により同時選択確率の最尤解の導出が可能となる.つまり,相互作用したの同時選択確率を最大化する全主体の行動選択ベクトルを,量子アニーリングによって求解できるということである.この方法は,これまで行ってきた確率伝搬モデルをベースとした近似計算によって個別の選択確率を導出する定式化に比べて,厳密解を得ることができるという点で利点がある.また,計算量の少ない近似解と厳密計算の量子解法による解を組み合わせた計算アルゴリズムの開発も可能となった.
今後の数値計算実行にむけて,量子計算の実行方法に関する各種勉強会に参加し,エミュレータや適用時の課題に関する既往知見を収集した.これにより,量子計算においては量子間の相互作用ネットワークの形状により,計算コストは大きく異なる.そのため,実際に計算し,提案アルゴリズムの計算効率性を評価する必要があることがわかった.
ローカルインタラクションモデルを用いた避難選択についての論文投稿(掲載)を行い,避難行動に対する相互作用モデルの適用についての一定の成果を得た.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2020年度に予定していた相互作用モデルの定式化を実施でき,おおむね順調に進展しているといえる.近似解法と量子計算によるアルゴリズムの違いを明らかにできた点で,想定外の進展があった.一方で,数値計算による解の確認はまだ途中であり,この点についてはやや遅れている.

今後の研究の推進方策

2021年度は,構築した量子計算による同時選択確率の計算方法の効率性・解の精度について,数値計算により,明らかにする.また,構築モデルによる高速なパラメータ推定方法の開発を行う予定である.構築したモデルを用い,相互作用下での行動選択のパラメータ推定方法を開発する.通常のシミュレーションは別データによる事前パラメータを用いればよく,高速計算の必要性は少ないが,より即時的な適用に向けては,高速化が必要となる.また,推定方法の性能保証には,生成データによる数値実験および実証計算によるパラメータ推定を行う.

次年度使用額が生じた理由

当初,情報収集のための出張費・学会参加費を計上していたが,コロナ禍のため,出張ができなくなり,また学会もオンライン化・無料化されたため,次年度使用額が生じた.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Dynamics of local interactions and evacuation behaviors in a social network2021

    • 著者名/発表者名
      Urata Junji、Hato Eiji
    • 雑誌名

      Transportation Research Part C: Emerging Technologies

      巻: 125 ページ: -

    • DOI

      10.1016/j.trc.2021.103056

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2021-12-27  

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