研究課題/領域番号 |
20K14851
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
坪田 隆宏 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 講師 (00780066)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | Accident Risk / Deep Learning / 畳込ニューラルネットワーク / Traffic Safety |
研究実績の概要 |
本研究では、交通工学分野で獲得されている知見を援用しつつ、交通流データや交通事故データをはじめとする交通ビッグデータを活用した、近未来の交通事故発生リスクを予測可能なAIモデルを構築する。 2020年度は、NEXCO中日本管内路線の重交通状態を対象として、1) 速度・交通量・OCCを入力とした30分先における事故リスク予測モデルを構築(基本モデル)し、2)同モデルへの入力データの感度分析を実施、さらに3) 学習に使用するサンプル数がモデル再現性に与える影響を包括的に分析した。特に、2)においては2つの側面からアプローチした。すなわち、2-a) 交通流データの時空間範囲の影響、2-b) 交通流以外の環境データによる影響である。2-a)については、予測対象時空間データに加えて、上下流区間の感知器情報を入力に導入した場合の精度変化を分析した。2-b) については、交通流データに加えて、天候、曜日、前回事故からの経過時間などの情報を追加する場合の効果的なエンコーディング方法、および感度分析を実施した。 その結果、1) 基本モデルのみでも将来30分の事故リスクを精度良く予測可能であること、2) 基本モデルに対して、分析対象路線の上下流区間データを入力することで、あるいは天候や曜日等の情報を追加することで更なる精度向上が実現できること、また前回事故発生からの経過時間も事故リスク予測に有効であることを確認した。さらに、3) 学習に用いる陽性(事故有)のサンプル数が事故リスクモデル精度に影響を与える可能性を示すことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、高速道路会社が管理する交通事故データ、交通流データ、および気象データ等を収集・データベース化し、以下を実施した。 (1)交通事故発生リスク推定モデルの構築 (2)入力変数の選択 その結果,交通事故発生確率を高精度に出力可能な深層学習モデルを構築しできた.また,入力変数についても精度に影響を与えるデータの種類や,時空間的な範囲に関する知見を得ることができたため,概ね順調に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は昨年度に構築したモデルの更なる精度向上に取り組む。具体的にはプローブデータから獲得される情報を入力データに追加することで、空間的により充実した入力データにより精度向上を図る。 加えて、モデルの精度検証に取り組む。具体的には、実際の管制室での運用を想定したオンライン運用の試行と、事故発生状況、あるいは管制員の経験との比較を計画している。コロナの状況に留意しつつ現場で、あるいは現場での運用を模した試行を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のため予定していた出張や学会発表の多くが中止、またはオンライン開催となったため旅費が大幅に繰越となった。 また、同様の理由で学内の運営交付金にも残余が生じた影響で、購入を予定していた物品の多くを賄うことができ、物品費と人件費にも繰越が生じた。 2021年度は、出張の一部再開が見込まれるため、主に国内ではあるが、対面での情報交換の場を持つため複数回の出張を予定している。また、分析の効率化を図るため、並列処理可能な構成のPCの購入を予定している。
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