研究課題/領域番号 |
20K14853
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
高山 宇宙 早稲田大学, 理工学術院, 助手 (80844290)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 路肩 / 自動運転 / 路上駐停車 / 荷さばき / ロボットタクシー / 駐停車需要 |
研究実績の概要 |
令和二年度は市街地の道路上での乗降について、第四種第一級~第二級相当の道路パターンを構築し、自動運転車の駐停車需要と交通円滑性の関係性について分析を実施した。これまでの研究では、単路部での自動運転車の駐停車について、乗降空間の形状や駐停車台数の増減による変化が交通円滑性に与える影響について検証し、乗降可能な空間が拡がるほど、駐停車需要が高まる場合に交通円滑性を総じて阻害する傾向があることを確認している。本研究では、新たに交差点部を加えて道路パターンを狭域交通シミュレータであるTransModelerを用いて再構築し、直進方向の車両の平均旅行速度によって交通円滑性の評価を行った。道路パターンについては、乗降空間を設置する第四種第二級道路に対し、同じ第二級道路を交差させるパターンと、交通量の多い第四種第一級道路と交差させるパターンの二種を想定し、それぞれ乗降空間の上流部側と下流部側で交差させたモデルを採用した。 分析結果より、右左折車両が多い第一級道路と接続する道路パターンの場合、第二級道路と接続する道路パターンに比べて直進方向の平均旅行速度が低下することが示された。特に上流部側で第一級道路と接続する道路パターンは、乗降空間に進入する車両の待ち行列が交差点部まで延びることで平均旅行速度の低下を招くケースが見受けられた。なお、駐停車頻度を変化させても平均旅行速度があまり変わらない道路パターンのほとんどのケースにおいて、実際に停車できる車両は、計画した駐停車需要の半数程度に留まった。以上の結果から、市街地の道路上での乗降は、道路の交通量と駐停車需要を踏まえ、乗降制限や乗降場所の誘導を図るなど、交通円滑性と停車需要のバランスを保った計画を策定することが重要であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交差点部を含めた狭域交通モデルを構築し、路肩での乗降が交通流に与える影響の把握が出来たため、当初の年度計画を概ね達成したといえる。一方、新型コロナウィルスの影響により、タクシーを含めた公共交通や人流への影響が大きいことから、現地での交通量調査・路上での駐停車実態調査は行っていない。
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今後の研究の推進方策 |
道路上で対応できない駐停車需要については、駐車場などの路外空間への誘導を含めた対策が必要である。令和三年度は自動運転社会における市街地の路外駐車場の需要推計や、より現実に即した狭域交通モデルの構築をTransModelerなどのソフトを用いて行い、路肩および路肩以外の場所での乗降の可能性について詳細な検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初想定していた機械器具の一部について、想定よりも安価に購入することができたほか、新型コロナウィルスによる影響で学会出張や調査などに出かけることが出来なくなったため。
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