水の循環利用における未規制化学物質の制御・監視は世界共通の課題である.本研究では,下水再利用システムにおいて優先的に制御・監視すべき微量化学物質に関する情報を得ることを目的として,①下水由来フミン物質と微量化学物質の相互作用の解明,②下水由来毒性物質群の監視指標の開発に取り組んだ.遺伝子発現解析と吸着量評価の併用により,下水由来フミン物質のうち塩基性の画分が,ステロイドホルモン物質と反応し毒性影響を低減あるいは増加させる能力を有することが明らかとなった.また,蛍光分析データの多変量解析により,2万Da以下のサイズを有する蛍光物質が下水由来毒性物質群の指標と なりうる可能性が示唆された.
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