研究課題
本年度は、(1)世界を対象としたエネルギーシステムモデルにおける革新的技術の導入、(2)それを用いた世界CO2ネットゼロ排出を達成するエネルギーシナリオ分析を行った。(1)では、炭素回収利用(Carbon Capture and Utilizaton: CCU)技術について、前年度までに着手していた液体燃料に加えて、メタネーションによるガス供給技術を追加した。(2)では、2050年頃に世界CO2ネットゼロ排出を達成する複数のシナリオについて、エネルギーシステムモデルを用いた定量評価を行った。その際、様々な技術的・社会的要因によってエネルギー需要部門の電化・水素技術の普及速度に制約を設けたシナリオを新たに想定し、このような条件下での代替的な排出削減シナリオの可能性についてシミュレーションを行った。結果として、そのような技術制約下では、バイオマスや二酸化炭素除去(Carbon Dioxide Removal: CDR)による追加的なエネルギー需要部門の排出削減・負の排出が主要な対策となることが示された。ただし、バイオマス利用や炭素回収貯留(CCS)についても技術的・社会的制約が想定されることから、IPCC第6次評価報告書で示された代表的緩和シナリオに基づき、これらの利用も制限されるシナリオについても定量化を行った。その結果、直接空気回収(Direct Air Capture: DAC)と再生可能エネルギー起源水素によるCCUを用いたエネルギー利用が主に運輸、産業部門、一部の民生部門において行われ、残存するCO2排出の除去に有効なオプションとなる可能性を示した。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件)
土木学会論文集G(環境)
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