令和4年度は,研究成果の国外への情報発信を目的に,日本建築学会が発行するJapan Architectural Reviewへ論文「Research on the Criterion of Ceilings Using Human Tolerance Index (Part 2): Identification of Impact Load on a Dummy Head by Inverse Analysis」を投稿するため執筆を行った.また,これまで用いていた100万要素を超える精密な頭部有限要素モデルに加えて,トヨタ自動車株式会社と豊田中央研究所が共同で開発し,2021年1月より無償で公開しているバーチャル人体モデルTHUMS(サムス : Total HUman Model for Safety)を用いて,頭部への天井材の衝突を模擬した解析を行い,応力状態やひずみ、圧力分布の比較を行った.頭部だけでなく人体全体をモデル化したTHUMSを用いることで,天井材衝突後の人体全体の挙動を追うことができ,また,頭部の次に深刻な怪我が発生しやすい頸部にかかる力なども推測することができた.さらに、既往の人体実験と比較を行うことで、傷害クライテリアの見直しも行った。一方で,有限要素法等による天井の衝撃解析は,複合材料の解析や破断解析等,非常に難易度が高く汎用的ではないため,より簡易的に最大衝撃荷重を推定する手法の提案も課題として明らかとなった.
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