研究課題/領域番号 |
20K14876
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
白井 佑樹 神奈川大学, 工学部, 助教 (00779720)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | コンクリート系 / アンボンドプレストレスト / 梁 / エネルギ吸収能力 / 継続使用性 / 損傷把握 |
研究実績の概要 |
研究の初めとして,制振要素の有無をパラメータとした片持ち梁形式での構造実験を実施した。試験体はスタブ,梁部材,そして制振要素から成る。スタブと梁部材はプレキャストで,PC鋼棒により圧着接合されている。PC鋼棒を通すシース管にグラウト等は充填せず,アンボンドとなっている。梁部材の設計は曲げ破壊を想定した。制振要素には梁端に納まりかつ損傷時に交換が可能な性能,そして制振要素の接合には継続使用が可能な性能を有する方法を検討した。 まず制振要素には,既往研究の異形鉄筋の節断面での断面積と節間断面での断面積の差を利用した座屈拘束ブレースを小型化することを考え,質量10kg程度で目標の性能を有する制振要素を開発することができた。実際には,建物の耐力・剛性に応じて本数や軸降伏部長さを調整することができる。引き続きディテールを検討中である。次に制振要素接合部には,既往研究の圧着接合を参考に,コンクリート梁と鋼接合部材をPC鋼棒によって圧着した。 実験の結果,制振要素を付加することでアンボンドプレストレスト構造特有の細い復元力特性と,それに起因する低いエネルギ吸収能力は向上し,部材角1/100で耐力は1.25倍,エネルギ吸収能力は2倍になることを確認した。一方で,繰返しによりエネルギ吸収能力の低下著しく,その要因を検討中である。なおここではエネルギ吸収能力は等価減衰から求めた。また,制振要素を付加した試験体も曲げ破壊をしたが,制振要素接合部付近でのひび割れも目立った。一方で梁部材鉄筋に貼付した歪ゲージからは大きな損傷を把握できなった。繰返しによる性能低下と併せて,継続使用性についても更なる検討が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り,パイロット実験を実施することはできたものの,コロナ禍により試験体制作と実験実施の時期が遅れた。そのため実験結果の詳細検討に至っていない。また次年度の計画立案を早急に進める必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り,梁部材を模擬した逆対称曲げを受ける試験体での実験実施を目指す。これは,初年度実施した片持ち梁形式ではPC鋼棒が曲げ耐力に寄与してしまうため,逆対称曲げを受ける試験体での性能検証が重要だと考えるからである。 また,当初の予定通り初年度試験体を補修しての再実験を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
試験体を当初予定より安価に依頼することができたため,次年度の梁試験体製作に充当することとする。
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