研究課題/領域番号 |
20K14879
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研究機関 | 国立研究開発法人森林研究・整備機構 |
研究代表者 |
鈴木 賢人 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (80757055)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | CLT / 床構面 / 有開口 / 性能評価 |
研究実績の概要 |
昨年度実施した有開口CLT床構面の面内加力実験の結果と、軸組工法や枠組壁工法で用いられてきた有開口構面の性能評価法を比較することで、CLT床構面に対する既往の評価法の適用性を調べた。なお、既往の方法とは、開口規模や位置によって決まる低減係数を、無開口構面の性能に乗じることで性能評価する簡便なものである。結果として、CLT床構面の外力に対する抵抗メカニズムが従来の木質構面と異なることから、既往の方法では、有開口CLT床構面の性能を実用上必要な精度で評価することはできなかった。このことから、CLT床構面を構成する接合部の性能や位置から構面の性能を評価すべきことが確認された。 続いて、無開口CLT床構面を対象とした性能評価法を有開口CLT床構面に適用したところ、CLTパネル間のせん断挙動を過小評価した。そこで、パネル間のせん断挙動をより精確に再現するため、主たるせん断抵抗要素であるスプライン接合部と、設計ではせん断抵抗要素として見込んでいない帯金物(STF)接合部のせん断実験を行った。スプライン接合部においては、スプライン合板からみた左右CLTの相対変位差にバラつきがみられたが、接合部全体のせん断性能に与える影響は確認されなかった。STF接合部については、主に引張力を負担させることを意図しているため、せん断抵抗要素にみなされていないが、実性能として高いせん断抵抗性能を有していることを確認した。これらの結果を、無開口CLT床構面を対象とした先の性能評価法および研究代表者が過去に提案した簡易力学モデルに反映させたところ、スプライン長さ1P(=910mm)のせん断降伏以降の挙動を除き、精度よく評価した。1Pの降伏以降に誤差が生じる原因は、スプラインやSTFが複合応力の影響を受けやすい条件下にあることが原因と考えられるが、詳細な検討は次年度行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、有開口CLT床構面を構成する接合部を対象とした要素実験を行い、各接合部の性能を把握したため。また、過去に提案した簡易力学モデルを用いて有開口CLT床構面の面内加力実験結果を概ね再現できたことから、力学モデルの構築も概ね完了したといえるため。
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今後の研究の推進方策 |
接合部仕様の違いによる、有開口CLT床構面の面内性能の変化を明らかにするため、構築した力学モデルを用いたパラメトリックスタディを行う。ここまでの実験データと解析データを活用しつつ、CLT床構面を剛床とみなせる仕様を明示する。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際会議等がWEB開催となったことで、旅費および参加費に変更が生じたため、差額が次年度使用額となった。接合部実験の試験体費用及び学会参加費、論文投稿費として使用する予定である。
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