2年目の研究は、施工過程で制御できない地中熱交換器の幾何形状と正解が分からない地中熱交換器構成要素の熱物性によって熱交換器の性能を代表するパラメータであるボアホール熱抵抗がどの程度変わるかに関する不確かさ分析を行った。現実的な四つのシナリオ設定し、各シナリオに関するモンテカルロシミュレーションを行い、ボアホール熱抵抗の確率分布を分析した。それに加え、二つの熱交換パイプのボアホール内部での位置関係によって変わるボアホール熱抵抗の二次元空間分布を体系的に分析した。 パイプがボアホール内部にどのように配置するかに関する幾何学的不確実性、グラウトと土壌の熱伝導率の不確実性、施工過程で変化するボアホール直径の不確実性まで同時に考慮する最も現実的なシナリオの結果は、ボアホール熱抵抗値が0.14~0.29 mK/Wの範囲に分布することを示した。本研究の結果は、現場に複数の熱交換器が設置される場合、個々の熱交換器のボアホール熱抵抗が2倍以上の異なる可能性があることを示す。 さらに、ボアホール熱交換器の構成要素であるパイプとグラウトの熱物性を推定するため、ベイズ統計に基づく確率論的推定法を開発した。4時間以下の短い初期熱応答データを使用して推定する必要がある。従って、地中熱交換器の構成要素の熱物性推定は必然的に不確実性を含む。本研究はボアホール構成要素の熱物性推定に成功し、確率論的アプローチは既存の決定論的な推定法に比べ、合理的な方法であることを確認した。
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