研究課題/領域番号 |
20K14886
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研究機関 | 福岡女子大学 |
研究代表者 |
鄭 朱娟 福岡女子大学, 国際文理学部, 助教 (70793545)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 全熱交換器 / CFD / 最適設計 |
研究実績の概要 |
研究初年度(R2年度)の具体的な実施状況を以下のように報告する. (1)材料内の熱・水分同時移動式と臭気物質移動の3成分同時移動式の定式化:全熱交換エレメントを構成する透過膜内の臭気物質移動は,顕熱移動と比較して潜熱(水分)移動の影響を強く受けるため,臭気物質・水分同時移動式を定式化した上で,熱・水分・臭気物質の3成分同時移動モデルを定式化している. (2)小型の全熱交換エレメントを対象とした臭気物質移行率測定:小型の全熱交換エレメントを対象とした臭気物質移行率測定について,代表的な水溶性臭気物質としてアンモニア(NH3)に着目し,比較のための汚染物質としてホルムアルデヒド(HCHO),二酸化炭素(CO2)にも着目した上で,各種の透過膜を対象とした拡散係数(二つの小形チャンバーで材料を挟み込むダブルチャンバー法),吸着等温線(磁気浮遊式天秤を用いた重量法)の測定を行った.これらのデータをベースに数値解析用の境界条件・初期条件となるよう競争吸着や温度依存性等を考慮して整備している. (3)最適設計に向けたパラメトリック解析:性能改善に寄与する空気流量,材料の透湿性能,流路の幾何形状,有効全熱交換面積(断熱・断湿面パッチ)の4要素に着目し,物性値を段階的に変化させた系統的解析を実施し,各種設定条件が交換効率,対流熱伝達率,フィン効率に与える影響を把握している.各種物性値や幾何条件要素の感度と相互関係を定量化し,エレメント最適設計のための指針(チャート)を作成している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画とおり,目標に向いておおむね順調に進展している.現在,次年度の研究遂行のために材料内の熱・水分同時移動式と臭気物質移動の3成分同時移動式の定式化及び,数値解析を行う流路形状と流路構成材料内部までを高解像度で再現する数値解析モデルの境界条件・初期条件の準備に取り組んでいる.
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今後の研究の推進方策 |
(1)数値解析用小型の全熱交換エレメントモデルの作成と解析条件設定:実機として作成可能な小型の熱交換エレメントの幾何形状を基に,CFD解析を行う流路形状と流路構成材料内部までを高解像度で再現する数値解析モデルを作成する. (2)CFD解析と顕熱・潜熱・臭気物質移動モデルの連成解析手法の確立:CFD解析と材料内の熱・水分・臭気物質の3成分同時移動モデルを気相-固相界面でのフラックス保存式を共有させた連成解析モデルとして整備し,上記(1)で作成した全熱交換エレメントモデルに統合する.実施した基礎実験結果と比較することで予測精度を検証し,必要に応じて数値解析モデルの改良を行う. (3)最適設計に向けたチャートの整備:パラメトリック解析で得られた各種物性値や幾何条件要素の感度と相互関係を定量化し,エレメント最適設計のための指針(チャート)を整理する.
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