バイオフィリア概念を空間に反映したものがバイオフィリックデザインであり、植物、自然光、水、香り、音等の自然環境要素が含まれており、建築物に反映されている。既往研究によると実物の植栽や水だけでなく、映像や画像を見たときも癒し効果や落ち着くなど心理的効果があることや、休憩空間に適していることが分かっている。水による演出空間では安らぎや好ましさの効果があることや水景施設の中で噴水が最も快適であることが分かっている。しかし、水を室内に取り入れた研究は少なく、噴水を使用した研究はほとんど見られない。また、自然音は心理的ストレスによる交感神経活性からの回復を促進することや、特に水の音はポジティブな感情を生み出すことが分かっている。雨の音を心地良いと回答する回数が季節により異なるため季節感があることが分かっている。しかし、噴水による水音が季節差による変化については分からない。 また、VR空間と実空間の類似性の比較研究は多くあり、大きさ感や現実感で実空間とほぼ同様の結果が得られている。しかし、VR空間と実空間において噴水が人に与える心理・生理的影響の検討は少ない。本研究では、休憩空間における噴水の人に与える心理・生理的影響を明らかにすることを目的とし、実空間及びVR空間における検証、季節の差による比較検証、VR空間と実空間の比較による効果の検証を行った。 その結果、休憩空間において噴水が休憩に有用であった。冬期は噴水の音のみが視覚的効果に比べ、優位であった。休憩空間において血圧、体温、心拍が与える影響は確認されなかった。休憩空間において噴水の音が季節の差によって心理・生理的に与える要素は確認されなかった。実空間とVR空間の印象評価による結果は、おおむね実空間とVR空間では同様に評価が可能であると示唆された。
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