研究課題
若手研究
本研究は、難燃処理等に頼らずに、木質仕上げを防火的に実現する方法の研究である。建築物において、上方向の延焼防止に有効な「庇」に、側方への燃え拡がり抑制性能を付加することを試みた。縮尺1/2で壁・庇を再現した模型を用いて、可燃仕上げ(木製ルーバー)を施した状態での燃焼実験などを実施した結果、庇下方での水平方向への延焼速度は、下面に30°上向きの勾配をつけることで、勾配なしの場合と比較して50%程度まで抑えられることを明らかにした。
建築防災
建築防災研究において、天井面下にどのような煙層が形成されるか、天井に傾斜がある場合、その空間的分布がどのように変化するかといった観点については、豊富な先行研究があったが、これを可燃性仕上げ材の防火に活かそうという試みは殆どない。本研究により、天井あるいは庇といった部位に傾斜をつけることで、下方の延焼抑制に役立つことが示されたことは、本研究が直接想定するアトリウム空間の木質化のほか、外壁開口部を介した建物内の延焼を遅延させるための技術としても有用な成果と考えられる。