研究課題/領域番号 |
20K14905
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
宮地 茉莉 京都大学, 地球環境学堂, 特定助教 (80868597)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | バングラデシュ / サイクロンシェルター / 住宅型シェルター / 地域住民参加型 / 避難所生活 / 災害復興 / 防災 |
研究実績の概要 |
本研究はサイクロン常襲地であるバングラデシュにて、避難所であるサイクロンシェルターの平常時および避難時の利用実態を明らかにし、維持管理および避難時の利用の課題をまとめ、発展途上国の経済問題やジェンダーなど、文化背景を考慮したサイクロンシェルターのあり方を提示することを目的としている。本研究から得られる知見は、今後のバングラデシュのサイクロンシェルター建設計画にフィードバックされるだけでなく、東日本大震災後に日本各地で建設が進む避難タワーの建設計画や避難所運営にも有用であると考える。 2020年度は広域調査を実施し、調査対象地を最終選定する予定だったが、コロナ感染拡大のため現地における調査実施は実現できなかった。一方で、申請者のこれまでのバングラデシュにおけるフィールド調査の結果をまとめた日本語論文を再編集し、翻訳した英語論文がJAR(Japan Architecture Review)に掲載された。海外研究者からの被引用数が上がったことから、建築分野におけるバングラデシュのサイクロンシェルターに関する研究の重要性は日本だけでなく国外でも高いと考察される。また、今後のリモート調査の可能性を探るため、バングラデシュの建築関連の研究機関であるBengal Institute of Architecure, Landscapes and Settlementsのスタッフとオンライン打ち合わせや情報交換を行い、2021年度は遠隔調査にて資料収集、フィールド調査を実施することを予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年度の研究実施計画は、バングラデシュにて2度のフィールド調査を行い、広域調査から調査対象地を選定する予定だったが、2020年1月からの世界的なコロナ感染拡大の影響により、日本からバングラデシュへの渡航が困難であり、フィールド調査の実施はできなかった。また、バングラデシュ国内では2020年3月に各地域でロックダウンがあり、国内移動も困難だったこと、現在も毎日6000人を越える感染者が出ているとの報告があり、リモートでの調査も困難な状況である。以上より、当初の研究計画よりも進捗は大幅に遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
バングラデシュでは現在も感染者数が毎日6000人を超えており、2021年4月にロックダウンが実施されている。日本およびバングラデシュにおけるコロナ感染拡大の状況から、2021年度にバングラデシュに渡航し、フィールド調査を実施することは困難であるため、バングラデシュ国内の感染拡大が落ち着いた段階でリモート調査を実施する。2020年度からバングラデシュの建築関連の研究機関であるBengal Institute of Architecure, Landscapes and Settlementsのスタッフとオンライン打ち合わせや情報交換を行っており、資料収集、フィールド調査の協力を得られる予定である。 また、これまでのバングラデシュのサイクロンシェルターに対する支援についてバングラデシュからの資料だけでなく、国際機関やJICAなどの資料を収集し、1970年代から現在に至るまでの傾向を分析し、申請者がこれまで実施した現地調査の結果と照らし合わせて課題を整理し、文化的背景を考慮したサイクロンシェルターのあり方の仮説を立てる。2022年度以降の現地調査では、調査対象地を申請者がこれまで調査を実施した集落(ランガバリ島、ハティア島、パドマプクル)に絞り、この仮説の検証を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度の研究実施計画は、バングラデシュにて2度のフィールド調査を行い、広域調査から調査対象地を選定する予定だったが、2020年1月からの世界的なコロナ感染拡大の影響により、日本からバングラデシュへの渡航が困難であり、フィールド調査の実施はできなかった。バングラデシュおよび日本のコロナ感染拡大の状況から、2021年度も申請者のバングラデシュへの渡航は困難であると考え、バングラデシュの建築関連の研究機関であるBengal Institute of Architecure, Landscapes and Settlementsに協力を依頼し、遠隔にてフィールド調査を実施するため、リモート調査に伴う調査機器の購入、調査員への交通費および謝金として支出する予定である。
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