本研究では、全国で進められている立地適正化計画、特にコンパクト+ネットワークの観点から、地域の拠点配置を研究対象としている。これは、居住誘導区域及び都市機能誘導区域として設定される拠点の配置と数を計画する根拠となるとともに、コンパクト性の指標導出を目的とした研究である。 1年目では、本研究の根幹となる拠点配置の基礎モデルの構築について行い、約500m四方の格子上に集計された人口分布を基にしたアクセシビリティによる最適化アルゴリズムを構築し、拠点の最適配置計算を行う基礎を固めた。2年目では1年目に構築したモデルからより、実態の計画を反映すべく、多くの人が集まりやすい拠点には多くの都市機能が集積するという重力モデルの考え方を援用し、人々の拠点への訪問頻度にヒエラルキーのある状態での拠点間移動コストを組み込んだモデルを構築した。3年目には以上のモデルにより、コンパクト+ネットワークといった都市構造が成立可能なのか、あるいはどのような状況で成立しうるのかについて、香川県の市町村を対象にケーススタディを行い、成果の一部について学会発表を行った。また、市町村のみでの最適化に止まらず、広域連携での効果検証として、計算規模を都道府県レベルまで引き上げ、ケーススタディを行った。 現在までで用いた指標で得られた知見としては、以下のとおりである。コンパクト+ネットワークの都市構造は、多くの都市で計画上設定している拠点配置のような分散型の配置は、極端に訪問が少なくなる拠点が存在し、持続性の観点から非効率である可能性がある。そのため、拠点を都市機能や交通ハブの集約拠点と考えると、拠点配置とともに人口誘導による拠点間の規模をコントロールすることが肝要であることが示唆された。
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