研究課題/領域番号 |
20K14917
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研究機関 | 工学院大学 |
研究代表者 |
江 文菁 工学院大学, 建築学部(公私立大学の部局等), 助教 (50749679)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 共生型サービス / 富山型デイサービス / 経年変化 |
研究実績の概要 |
本研究では、共生型サービス(以下、共生型)のモデルとなった富山型デイサービス(以下、富山型)に着目し、長年蓄積された共生型の設立経緯、運営手法、支援やサービス等の知見を得ることを目的としている。利用者定員の変更(縮小・拡大)や施設運営の休止歴、事業の複合化などについて、現地インタビューを予定し、空間整備の変化については、建築図面をドローイングし記録化を行うことを予定していた。しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大により、高齢者、障害者、障害児、医療的ケア児が通う福祉施設は、クラスター発生を恐れ、部外者との接触だけではなく、利用者・利用者家族、スタッフ・スタッフ家族の県外外出を控え、県外外出があった場合には施設に報告を求めれている。 したがって、昨年度に引き続き今年度の現地調査は実施を見送った。代わりに、施設の公開配信webチャンネル、施設web総会などに参加し、コロナ禍の運営状況を継続的に収集した。 2020年度に行ったCOVID-19下における富山型での事業運営状況と感染予防対策についてのアンケート調査をまとめ、日本建築学会技術報告集に投稿し採用された。事業運営比較では、全国的な傾向と同様に経営への影響が大きい。しかし、経営が前年度と比べアップした事業もあり、複数の事業を展開する法人が多い富山型では一概に事業運営収入の増減は言い難いことが分かった。小規模施設ではサービスの縮小や電話による安否確認に切り替えて必要スタッフ数を減らし、事業継続を行っていた。利用者の相互施設利用や他施設とのスタッフのつながりが強い富山型独特のBCPの萌芽が見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の拡大により、高齢者、障害者、障害児、医療的ケア児が通う福祉施設は、部外者の立ち入りを禁止をしており、現地調査の先行きが見通せない。非接触型のオンラインインタビューを試みたが、実質、電話インタビューと大差なく、研究目的の空間整備記録が実行できていない。
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今後の研究の推進方策 |
ステッフ1運営歴の全体像の把握 初年度予定の各施設の運営歴の実態把握は、新型コロナウイルス感染症の影響でデリケートな項目となったため、2020年度実施のアンケート回答のみで運営歴整理を行う。これと同時に、共生型サービス管轄の行政職員(富山県)へのインタビュー調査をし、コロナ禍での運営変化を含め、共生型運営の実態解明を行う予定とする。 ステッフ2 空間整備の建築計画的特徴の変化 抽出できた各施設の運営歴結果を基に、施設運営者へのインタビュー調査および施設の現地調査から空間整備を含む変化を記録する。なお、現地調査がコロナ禍で困難な場合は、調査を最終年度に繰り越す、もしくはこの調査を取りやめにする。施設運営者へのインタビュー調査は、対面が困難な場合は電話やオンライン形式で可能な限り実施し、今後対面が可能になった際に補足調査を行う。 ステップ3 補足調査・まとめ・提案・結果の公表【最終年度】 富山県が2021年に共生型200施設の整備を目指している点を顧み、ステップ1から2で得られた結果を基に、共生型の運営歴、運営転換について分析・考察を行った上で、特に新興感染症が起こりうる今後の共生型施設計画のあり方について提言を行う。また必要に応じて補足調査を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
共生型のモデルとなった富山型デイサービスの利用者定員の変更や施設運営の休止歴、事業の複合化などについて、現地インタビューを予定し、建築図面をドローイングし記録化を行うことを予定していた。しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大により、高齢者、障害者、障害児、医療的ケア児が通う福祉施設は、部外者との接触を完全に避けている。したがって、今年度は現地調査を見送った。使用計画については、引き続き現地調査が困難であるため、本研究の限られた文献調査(関連図書、論文)にシフトし、可能な限り、施設図面郵送を併用し、電話やオンラインインタビューなどの非対面調査を試験的に実施する。一部これら調査変更に伴う機器備品の整備にあてる。
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