研究実績の概要 |
研究スケジュールの【A】制度運営体制の実態調査(R2に実施)、【B】地方圏シェアハウスの整備・運営形態調査・分析(R3,4に実施)、【C】地方圏住宅確保要配慮者向けシェアハウスの事例調査・分析(R5に実施)に関しては最終年度までに全て着手した。 R3,4年度の調査結果より住宅SNに登録される共同居住型住宅(いわゆるシェアハウス)は、全体の0.16%と僅かで、当制度での高齢者用の整備状況は順調とは言い難いことを示した。そのため、R5年度の住宅確保要配慮者向けシェアハウスの事例分析では、戸建て空き家を高齢者用シェアハウスに再生活用する上での課題を明らかにするため、既存建築を活用した高齢者用シェアハウスの事例調査より、シェアハウスの開設経緯や運営形態の特徴を把握した。調査は、福岡県2例、大阪府1例の計3例を対象に実施し、1)管理運営者へのヒアリングによる開設経緯及び運営形態の把握、2)平面・配置図及び住戸内の家具配置採取を行った。 さらに、地域包括ケアシステムの観点から、小規模多機能型居宅介護施設と高齢者シェアハウス、コミュニティカフェを運営する事例の取り組みに関しては、使われ方調査を実施することで、各サービス連携の仕組みを明らかにした。 関連して、地域福祉及び既存建築活用の観点から、障がい者施設と子ども食堂への転用事例についても調査した。特に障がい者施設に関しては使われ方調査など詳細な調査を実行した結果、木造戸建て建築を活用する際の改修項目や費用についての知見を得ることができた。 以上、高齢者向けシェアハウスについて、建物入手から開設、改修、運営までの一連の既存建築活用の流れを把握することと、入居後の在宅生活及び介護の支援サービス等ソフト面での取り組みを把握した。これらの知見は住宅セーフティネット制度運営課題への示唆となる。
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