研究実績の概要 |
本研究は「建築と庭園の相関」を理解するために、具体事例を選定した上で、古文書や絵図史料、実測関係資料を元に実証的検討を進めるものである。研究対象は、寺社から近代までの建築と庭園に広げた。 本年度は、浮月楼(静岡市)、滋賀院(大津市)などを具体的な検討対象として、建築・庭園の変遷過程を各史料から明らかにしつつ、現存する建築と庭園の一体的価値はどのような点にあるのか示した。それぞれの変遷を見るだけでは理解できない事象について、建築と庭園の一体性を評価することで、相互の価値を再評価できる指標が確認できつつある。また庭園に高低差があり、かつそこに建築が所在する場合、その配置構成にはどのような工夫がなされ一体的な構成が取られているのか、視点場の眺望を示しつつ実情を示した。研究成果は下記3点にまとめた。 ・新村恵太, 小柏典華「庭園の高低差を利用した建造物の配置構成に関する研究 -建造物内の視点場からの眺望に着目して-」(『2023年度日本建築学会関東支部研究報告集』) また、日本建築学会大会発表にて下記2本の発表を予定している。 ・小柏典華, 新村恵太, 湯本桂「浮月楼の建築および庭園の一体的文化財価値評価に向けた研究」 (日本建築学会大会学術講演梗概集 2024年8月) ・新村恵太, 小柏典華, 湯本桂「座敷の天井仕様と庭園景観の相関性についての研究 ―浮月楼明輝館を対象として― 」 (日本建築学会大会学術講演梗概集 2024年8月)
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