本研究では、地方都市における戦後の都市計画とそれにより生み出された都市空間を対象とし、戦後の都市空間について歴史的経緯を明らかにし、詳細な現地調査、聞き取り調査により建築的な特徴および現在の利活用の実態について明らかにする。そして今後のまちづくりに活用可能な資料として取りまとめていくことを目的としている。 最終年度は昨年度に引き続き、戦後岡山市街地の表町商店街における都市不燃化・再開発の計画経緯と現況について明らかにした。その結果、防火建築帯建設の経緯、岡山市における不燃化・再開発事業の流れ、高山英華による計画案等に関する歴史的経緯が明らかになった。また、岡山県立図書館所蔵の新聞記事や史資料、岡山県立記録資料館所蔵の図面や計画時のパース、古写真等から当初計画および実施計画に関する図面の一覧がおおよそ完成した。これらの図面を比較・検討し空間構成の変遷や建築物の特徴について整理することができた。さらに現在の防火建築帯(表町商店街)の利活用の実態について整理・調査分析を進めたうえで論文等として報告する予定である。また初年度に実施した岡山市の円形状交差点の事例についても考察を深めた上で論文等として報告する予定である。 本年度は最終年度であるが、調査において戦後の都市空間の概要が確認できた徳島市、松山市、下関市については、戦後の都市空間としても重要な地域として位置づけられることから、今後も継続して調査を実施していく。
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