研究実績の概要 |
研究実施計画の通り,自身の先行研究の手法(Oshima, 2019, https://doi.org/10.1007/s10569-019-9892-6)に対して最適制御を付加することで,遠方への脱出を回避して周期軌道の近傍にとどまりつつ,軌道の特徴量を一方向的に増幅させる手法を構築した.時間に陽に依存しないが高次元な相空間を持つモデルである空間円制限三体問題に適用した結果,以前の手法では適用できなかった低エネルギー条件において,軌道面外成分を大きく変化させられることがわかった.応用として,月近傍の2次元周期軌道と3次元周期軌道間の遷移軌道の設計を行い,先行研究と比較して遷移時間および燃料消費量を大きく低減できることを示した.以上の研究成果は,学術雑誌(Oshima, 2021, https://doi.org/10.2514/1.G005159)および国際会議(31st AAS/AIAA Space Flight Mechanics Meeting)にて発表した. さらに,時間に陽に依存するモデルに特有の不安定性を抽出するため,楕円制限三体問題に特有の不安定性を探求した.楕円制限三体問題における周期軌道を網羅的に探索し,安定性を解析することで,周期軌道を脱出後に軌道離心率を一方向的に変化させる軌道を見出した.応用として,軌道離心率の大きい二重小惑星系において,周期軌道を脱出した探査機の軌道離心率を増幅させることで,小惑星に近づきながら観測を行う手法を提案した.以上の研究成果は,国際会議(AAS/AIAA Astrodynamics Specialist Conference)にて発表した.
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