本研究の目的は、OHPが動作限界に至るメカニズムの全貌を明らかにし、予測モデルを構築することである。自励振動ヒートパイプ(OHP)の動作限界を引き起こす熱流動機構を明らかにするために、気液挙動が見えるようにガラス等の透明配管で製作したOHPについて、動作限界近傍での温度と圧力、熱輸送量を計測する。同時に高速度カメラで気液の動きや気液界面での現象を観察し動作限界メカニズムの仮説の検証を行う予定である。 研究再開後中断までの約半年間に、パイレックスガラス製の7ターンのOHPに作動流体としてR134aを封入し高速度カメラにて可視化実験を行った。OHPは水平状態では動作しなかったが、垂直および傾斜をつけたボトムヒート状態では動作が確認された。熱負荷入力後、蒸発部で沸騰が生じた後に蒸発部の液スラグが凝縮部へと動き始め、OHPの動作が開始した。流れ方向を制御する逆止弁などはOHPに用いていないものの、OHP全体で流れが一方向となる循環流が観察された。熱負荷を上げてもOHP内部は循環するスラグ流のままであった。研究再開後は、さらに熱負荷を上げて動作限界付近での熱流動挙動を可視化する実験を行う予定である。 2023年2月にオーストラリア/メルボルンで行われたJoint 21th International Heat Pipe Conference and 15th International Heat Pipe symposiumに参加し、国内外のヒートパイプ研究者とOHPの動作限界について意見交換を行った。(学会での発表は研究中断中の成果)
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