研究課題/領域番号 |
20K14958
|
研究機関 | 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
大道 勇哉 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 航空技術部門, 研究開発員 (40733168)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 非定常流体解析 / 因果推論 / 動的モード分解 / 固有直交分解 / 縮約モデル |
研究実績の概要 |
航空宇宙機設計のために、流れ場の非定常性を考慮した空力設計のための技術確立が求められている。非定常流体現象を考慮した設計のためには、流れ場に存在する様々な現象やスケール構造が互いにどのように影響を与えあっているのかを特定する必要がある。本研究では、因果推論手法と縮約モデル技術を組み合わせることによって、流体データから現象間・スケール間の相互作用を定量化する手法を提案・実証することである。 研究初年度の2020年度の成果は以下の点にまとめられる。 1)動的モデリングによる非線形時系列解析の有効性を検証した。複数の時系列データから埋め込み次元の推定および時系列間の因果関係の推定が可能であることを確認した。 2)ノイズを含むデータからの時空間構造(モード)抽出手法を開発した。実験等で得られるノイズを含む多次元時系列データへ提案手法を適用するためには、物理的に有意なモードをノイズの中から抽出する必要がある。本研究では、既存のモード解析手法の問題点を解析し、ノイズのあるデータからも安定にモード抽出可能なアルゴリズムを提案した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定の通り、因果推論手法の検証を実施し、その有効性を確認することができた。さらに縮約モデルと因果推論手法を組み合わせた解析を実施する予定だったが、十分に進めることができなかった。 一方で、次年度以降に予定していた実験データの解析技術に関して前倒しで大きな進展を得た。本年度に開発したモード解析手法を用いることで、次年度に解析予定のノイズを含む圧力計測データからも適切に現象を抽出することが可能となった。
|
今後の研究の推進方策 |
2020年度の研究により、動的モデリングによる因果推論手法が有効であることがわかったため、今後は本手法の実データへの検証を進める。また、縮約モデルを組み合わせた解析を実施し、データ間の因果関係がどのように表現されるのかを詳しく検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
学会参加のための旅費が不使用となったため差額が生じた。次年度以降、書籍やコンパイラ等の購入に使用する予定である。
|