研究課題
2015年7月より発効された国際船級協会連合(IACS)が規定するタンカーとばら積み貨物船に関する調和共通構造規則(H-CSR)では,部分安全係数を導入することで一律かつ確定論的に船体縦曲げ最終強度を評価している.また,近年のデジタル化の風潮を受けて船舶海洋分野においても建造中・運航中を対象とした様々なモニタリングが実施され,生産効率の向上や船体ヘルスモニタリングを目的とした実測データの集積とビッグデータ化が進められている.これを受け,本研究では,初期不整や腐食による板厚減耗などが船体縦曲げ最終強度にどのように影響を及ぼすかについて信頼性解析に基づいて検討した.船体横断面を構成する主な部材として,パネル付き補強材(縦方向に補強された部材),あるいは,パネル(横方向に補強された部材)を想定し,建造過程で生じる初期不整(初期たわみおよび溶接残留応力)や運航年数の増加に伴う腐食による板厚減耗などの不確定因子によって,これらの構造部材の耐荷力,すなわち,軸応力~軸ひずみ関係がどのように変化するかについて,非線形FE解析のシリーズ計算によって求めた.また,上記の船体を構成する部材の耐荷力の低下を確率論的に議論することで船体全体の強度(船体縦曲げ最終強度)の低下に関して検討した.なお,実船計測についても実施しており,これらのデータを用いて現行の確定論的な規則に代わる確率論を用いたより合理的なアプローチに基づく評価手法の確立に関しては今後の課題となる.
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
Proceedings of the 15th International Symposium on Practical Design of Ships and Other Floating Structures
巻: 15 ページ: 427-435
日本船舶海洋工学会講演会論文集
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