研究課題/領域番号 |
20K14973
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研究機関 | 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 |
研究代表者 |
河島 園子 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 研究員 (60757722)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 衝突蓋然性 / 海潮流 / 航路選定 / 船舶動静情報 / 確率的方法 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、自動運航船が海潮流を考慮して衝突蓋然性のない安全な航路を航行することを実現するために、海潮流情報及び船舶動静情報の両面から海域上の船舶間の衝突蓋然性を予測し、衝突蓋然性の少ない航路を選定する技術を確立することである。計画している主な研究項目は、(1)海潮流下の船舶行動の分析とモデル作成、(2)衝突蓋然性が少ない航路の選定方法の検討、(3)海潮流下の衝突蓋然性の推定方法の検討、である。 当該年度は、上述した研究項目の(2)を実施した。具体的には、衝突に繋がる恐れのある危険な遭遇をする船舶間の潜在的な衝突発生数を船舶動静情報を用いて確率的に表す指標(以下、遭遇頻度という)を、対象海域に設定した計算格子毎に計算し、航路上を通過する全ての計算格子における遭遇頻度の計算結果を用いて、航路上で船舶同士の遭遇が発生する総数を確率的に推定する方法を考案した。これについて、計算プログラムを作成した。また、本手法を、一般的に船舶が通常航行する航路と船舶同士の遭遇を減らすことを考慮して選定した航路に適用したところ、航路を少し変更するだけで航路上の遭遇総数が減少することを示すことができた。 更に、当該年度は、上述した研究項目の(1)のうち、船舶行動のモデル作成についても検討した。クラスタリング手法を用いて、船舶行動を分類することを示した。 なお、航路選定方法に関する研究の成果は、2023年9月にフランスのナントにて開催される国際学会(International Conference on Collision and Grounding of Ships and Offshore Structures (ICCGS) 2023)で発表する予定である。プロシーディングスは提出済みで、Taylor & Francisから出版される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度には、衝突蓋然性(遭遇頻度)を考慮した航路の選定方法を検討することができた。次年度は、海潮流下の船舶行動(船舶動静情報)のモデル作成を行い、そのモデルを航路選定方法に適用させて、海潮流下の衝突蓋然性を推定することを目指す。
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今後の研究の推進方策 |
交付申請書(D-2-1)及び補助事業期間延長申請書(F-13-2)にて記載した研究実施計画を基に、本研究を実施する。 具体的には、次年度は、海潮流下の船舶行動のモデル作成を行い、そのモデルを航路選定方法に適用させて、海潮流下の衝突蓋然性を推定することを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度までに、船舶動静情報であるAISデータを購入していないため次年度使用額(B-A)が生じているが、現時点ではこれまでに弊所が所有しているAISデータを用いて研究を実施てきている。 なお、次年度は、当該年度に簡易的に作成した航路上で船舶同士が遭遇する総数を計算するプログラムを改修することを考えている。そのため、次年度使用額(B-A)と次年度分として請求した助成金を、プログラム改修に使用する予定である。
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