研究課題/領域番号 |
20K14975
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研究機関 | 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 |
研究代表者 |
拾井 隆道 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 研究員 (60734233)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | PIV / 気液二相流 / 3次元形状計測 / 摩擦抵抗低減 |
研究実績の概要 |
本研究では、サブミリサイズの気泡による抵抗低減メカニズムの解明のため、ライトフィールドカメラによる気泡流の3次元流場計測手法の開発を行う。初年度である本年度の実施事項は以下の通りである。 1.ライトフィールドカメラ計測システムの構築 計測対象となる気泡サイズ、計測領域、作動距離、空間分解能等から最適なライトフィールドカメラを選定、導入した。また照明のための光学系の検討を実施した。加えて、気泡流中のPIV計測のための蛍光粒子およびハイパスフィルターの検討を行った。 2.検証データの取得 通常の高速度カメラを用いて、ライトフィールドカメラでの計測結果の検証データの取得を実施した。水平チャネルにおいて、断面内平均流速1m/s、空間平均ボイド率0.0~2.0%の気泡流を対象に計測を行った。本実験条件では5mm程度の大気泡により摩擦抵抗の増加が生じるが、ここでは流場への影響が大きい大気泡を検証データの対象とした。流路幅方向中央の流れ方向および高さ方向で規定される計測断面において、液相の流速をPTV(Particle Tracking Velocimetry)で気泡断面形状をShadowgraphyで計測した。検証データの解析により、気泡界面はどの高さ方向位置でもほぼ一定の速度となることがわかった。またこれにより、壁面近傍では気泡界面移動速度は単相流中の液相速度と比較して20%以上高速となり、これに誘起されて液相速度が加速することにより速度勾配が増加し抵抗が増加するという、大気泡により抵抗増加メカニズムが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ライトフィールドカメラを用いた本格的な計測には至ってないものの、計測システムを構築したこと、また検証データを取得しこの検証データから気泡により摩擦抵抗が変化する一因を明らかにしたことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度取得した検証データと同条件においてライトフィールドカメラを用いた気泡流中の流場計測を行う。計測したデータと検証データを比較することにより、液相の計測精度を評価する。また、気泡の反射率分布を推定しその推定輝度から対応点を求め、気泡形状の計測する手法の開発およびポアソン方程式により圧力場を推定する手法の開発を行う。 これら手法を開発した後、気泡径を変化させて計測を行い、その影響について評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費が想定よりも少額であったため、次年度使用額が生じた。 次年度予算と合わせて、物品費、旅費、消耗品費として支出する予定である。
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