研究課題/領域番号 |
20K14979
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
川口 英明 慶應義塾大学, 理工学研究科(矢上), 特任講師 (30813969)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 量子アニーリング / ヘルスサービスリサーチ / 空間統計学 |
研究実績の概要 |
本研究では、医療資源配置最適化問題を制約条件付き組合せ最適化問題と捉え、量子アニーリングを用いて医療資源配置最適化シミュレーションを目的とする。2021年度では、この目的を達成するため、2020年度に厚生労働省に目的外申請をして獲得した医療施設静態調査の医療機関データや政府統計の総合窓口(e-Stat)で公開されている医師データをを用いて、医療資源配置最適化を行った。より具体的には、精神科医数、心療内科医数、冠動脈CTを有する施設数を二次医療圏単位の集計データにし、地理情報と突合させて空間統計用のデータを作成した後、2020年度の手法同様、量子アニーリングを実行して組合せ最適化を行い、各医療資源を増やす優先順位を表す色を地図に塗り分けた。ハミルトニアンの設計については、2020年度と同様の手法を行ったが、空間重み行列を用い隣接する二次医療圏間でなるべく違う色にするためのコスト項を、制約の強さに応じて複数パターンで場合分ける実装をした。また、2020年度は東京都のみをトライアルとして対象にしたが、本年度は日本全国を対象とした。その際、2020年度とは異なり、そのままではD-waveマシン上で実装することはできなかったが、最適化問題を複数の問題に分解し、後に解を統合する手法を実施することで、D-waveマシン上で実装することに成功した。得られた塗分け図については、2020年度同様、モラン統計量、Join Count 統計量などの定量化指標を用いて空間的自己相関の評価を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、日本全国を対象に、目的外申請で得たデータなどを用い、必要な医療資源データに対して、D-Waveマシンでの量子アニーリングを実行し、得られた結果の定量的な評価を実行できており、順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度では、得られた医療資源の優先順位の塗分け図と、各地域の疾患死亡率などの健康指標の関連性について、空間統計モデリングを用いて評価することで、本提案研究の妥当性について検討する。また、必要に応じて量子アニーリングの再実験を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
主に、新型コロナ感染拡大対策のため、学会に参加する機会がなく、支出が少なかったため、次年度使用額が発生した。翌年度分と合わせた使用計画としては、研究の実施の費用に加え、研究成果の発表などに使用する予定である。
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