本年度は、企業倒産以上に企業取引ネットワークに影響を与える因子として前年度に明らかになった部分的倒産(partial bankruptcy)について調査した。現実において、大企業は完全に倒産させるよりも、会社を分割し売却したり、一部の部門・ビジネスを放棄して再生するという現象が多く見られる。この効果を取り入れた新しい企業取引ネットワーク時間発展モデルを構築し、部分的倒産(partial bankruptcy)は中~大企業の大規模な縮小において支配的な効果を持つことを明らかにした。それによって企業間取引ネットワークの静的または動的な性質を同時に再現した。具体的には、次数分布、企業の寿命分布、次数成長率、優先的接続確率、売上分布、売上-次数スケーリング則、売上成長率分布の7つを同時に満たすパラメタの存在を示した。 以上の成果を国際学術誌において発表し、また国際会議において発表を行い成果をアピールした。
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