研究課題/領域番号 |
20K14987
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
黄 茜 早稲田大学, 理工学術院総合研究所(理工学研究所), 招聘研究員 (60769298)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 利益性 / 公平性 / グローバルサプライネットワーク |
研究実績の概要 |
生産のグローバル化が加速し,多くの企業が工場を海外に立地している.その際,現地の法律に基づき,工場や販売会社を法人化させることが一般的である.そして,このようなグローバルサプライチェーンネットワークにおいて全体利益の最大化を追求することが多くの企業グループの経営目標として設定されている.しかし,全体利益の追求によって,著しく自社の利益が犠牲にされる関係会社が発生する.この様な関係会社の利益の減少は,当該会社の業績を著しく下げることになり,現地マネージャーの評価や現地での投資誘導に悪影響を及ぼす可能性がある. 本研究ではそのような問題点を解決するために,サプライチェーン再設計・再計画の研究で広く用いられる数理モデルによる最適化に加え,経営上の視点で問題を分析すると共に各拠点の利益性を考慮し,全体利益最大化かつ企業グループ内の利益の公平性を両立できるようなサプライチェーン計画方式の構築を目指している. 本研究2年度目は事例調査から得られたサプライチェーンリスク(関係会社の犠牲)の具体的な事例と,様々な産業を対象とする文献調査によって列挙されるリスクの要因を洗い出し,その中の関係企業間の移転価格の決定問題に焦点を当てる.関係会社間の移転価格は元々経営階層で固定されていたが,ここでは,頑健かつ柔軟な生産・流通計画モデルを構築するために,経営階層の一部分の固定機能を取り出し,トップダウン計画手法を用いて,企業の利益性と公平性が両立できるように移転価格と生産分担の意思決定の方法論を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最初予定通りに研究を遂行している.
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今後の研究の推進方策 |
企業グループ内の利益の公平性を考慮して研究を行う際には,どの様な指標を用いて公平性の議論をすべきか,その指標がどの様になれば公平とみなすかという重要な課題がある.これらの課題を明らかにするために,理論的なアプローチはだけでなく,実践的なアプローチで企業の経営者などへ研究発信,アンケート調査を行い,構築されたモデルは異なる業界への影響と有効性を検証したい.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの感染拡大により,参加を予定していた国際会議が行けなくなり,次年度使用が生じた.感染の回復に伴い,学術会議に参加し,本分野の専門家と交流しながら研究成果の公開を行うために,研究費を使用する予定である.
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