本研究の目的は,液相反応に関する詳細反応モデル(素反応・その速度定数・化学種全ての熱力学データ)構築技術を確立し,高速過渡的化学反応である宇宙機用ヒドラジン/四酸化二窒素系推進剤の自着火現象の化学的メカニズムを明らかにすることであった.量子化学計算/連続誘電体モデル法を活用して,世界に先駆けて当該推進剤の液相詳細化学反応機構の確立し、これを用いて自着火反応機構を理論的に解析することを達成した.ヒドラジン/四酸化二窒素の液相反応は、これまで知られていた気相の反応機構とは全く異なる反応経路で進展することがわかり,実験的に観測されていた極めて短い着火遅れ時間を説明することに成功した.
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