研究課題
労働現場で頻発している作業関連性筋骨格系障害を予防するには、作業による身体への影響を評価する必要があるが、その実施には専門知識やコストなどの課題がある。そこで本研究では、労働現場における姿勢評価を簡便に実施するために、観察法の一つであるOWASに基づく姿勢評価システムを開発することを目的とした。具体的には、評価者がタブレット端末等のカメラで作業画像を取得し、画像中の作業者の各関節をタップすることで姿勢評価が可能となるシステムである。このようなシステムを実現するためには、関節2次元座標にOWAS姿勢コードがアノテーションされた教師データが必要である。そこで被験者実験を実施して、モーションキャプチャシステムによる関節3次元座標の取得とビデオ撮影を実施した。そして、DLT法によってワールド座標系の関節3次元座標をカメラ画像座標系の関節2次元座標に変換した。さらに、このデータを教師データとして機械学習モデルを作成し、それを実装した作業姿勢評価システムを開発した。本年度は、本システムにおける姿勢推定精度の向上を実施した。本システムでは、作業画像上の関節位置をタップすることで関節2次元座標を取得するが、想定していたよりも姿勢推定精度が低かった。そこで2つの方策を講じた。1つ目は、カメラと作業者の距離(撮影距離)の問題であり、これについてはさまざまなスケールに変換した教師データを作成することで解消した。2つ目は、タップする位置のばらつきであり、これについては教師データに対してばらつきのデータをノイズとして付加することで解消した。以上のように、本研究を通して、労働現場における作業姿勢の評価を簡便に実施できる姿勢評価システムを開発した。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)
Journal of Advanced Mechanical Design, Systems, and Manufacturing
巻: 16 ページ: -
10.1299/jamdsm.2022jamdsm0055