研究課題/領域番号 |
20K14999
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
門廻 充侍 東北大学, 災害科学国際研究所, 助教 (80819673)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 犠牲者の海上流出 / 低体温症リスク / 瓦礫から発見された犠牲者 / 津波災害 / 東北地方太平洋沖地震津波 / リアス海岸 / 犠牲者情報 / 災害からの生存科学 |
研究実績の概要 |
宮城県警から提供された東日本大震災における宮城県での犠牲者情報を分析し,今年度は,以下の3つの実績を得た.【1】海上で発見された犠牲者568名を対象とした分析結果から,沿岸自治体の海域別に分類した結果,石巻市(203名),女川町(115名),気仙沼市(114名)の順であった.また,平野部に比べ,リアス式沿岸部では海上流出のリスクが高く,特に,居住者のリスクが高いことが示唆された.さらに,海上流出は,発見を遅らせる一つの要因となる可能性が示された.【2】低体温症犠牲者の分析結果から,低体温症犠牲者は沿岸自治体のみで確認された.溺死犠牲者と比較して,高齢者の割合が高く,発見場所タイプでは屋内で発見された割合が高い点が特徴として示された.低体温症犠牲者の分析結果を踏まえ,津波災害における低体温症リスクに特化した想定フローを考案した.さらに,発災時の避難所における低体温症リスクとリスク軽減法を示した低体温症リスク・チェックリストを考案した.【3】瓦礫から発見された犠牲者の分析結果から,名取市,気仙沼市,南三陸町は,瓦礫内発見率が県全体の傾向よりも高いことが示された.また,名取市および気仙沼市を対象に,建物全壊率と瓦礫内発見率の関係を検討した結果,残存建物への瓦礫堆積の影響や木造率による瓦礫内発見率への影響が示唆された.最大浸水深の平均値と瓦礫内発見率の関係を検討した,隣接地区への瓦礫移流の影響により,両者の相関関係が低下していることが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
海上で発見された犠牲者を対象に,自治体海域別の被害傾向を明らかにできた.低体温症犠牲者の分析結果を踏まえ,低体温症リスク想定フロー,低体温症リスク・チェックシートを考案できた.瓦礫から発見された犠牲者の分析を開始し,瓦礫内発見率と建物全壊率や最大浸水深の平均値との関係を検討できた.
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今後の研究の推進方策 |
今年度の実績を踏まえ,次年度は主に2つのテーマに着目する.1) 瓦礫から発見された犠牲者を対象とした分析をさらに発展させ,宮城県全域に拡張し,建物被害や津波外力との関係などの特徴を調べる.さらに,2) 焼死,損傷死,溺死の各死因犠牲者を対象とした分析を行い,自治体の傾向,津波外力との関係などの特徴を詳細に調べる.
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次年度使用額が生じた理由 |
溺死や焼死による犠牲者など,2021年度着手できなかった分析があったため,研究費50万円を2022年度に繰越いたしました.
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