研究課題
東日本大震災における宮城県での犠牲者情報を分析し,今年度は,以下の2つの実績を得た.【1】損傷死犠牲者の分析:損傷死犠牲者は,溺死犠牲者と比較して,瓦礫内発見率(各地区の損傷死犠牲者の内,瓦礫内から発見された割合)が有意に高い値を示したことから,溺死よりも瓦礫の影響が大きいことが示唆された.損傷死の地域傾向を踏まえると,リアス地形による津波外力の増幅に伴う瓦礫の増加が損傷死に影響した可能性が示唆された.最大浸水深の平均値と損傷死率の関係から,両者には有意な正の相関があり,最大浸水深が2mを超えると,損傷死率が上昇する傾向が確認された.【2】焼死犠牲者の分析:焼死犠牲者は3市(気仙沼市,石巻市,名取市)6地区のみで確認された.他の死因と比較すると,限られた地区でのみ確認される特徴を有していた.焼死犠牲者数と津波火災メカニズムとの関係から,焼死犠牲者数上位3地区(石巻市門脇町,気仙沼市西みなと町,気仙沼市東みなと町)は,いずれも津波火災のメカニズムが斜面瓦礫集積型であった.また焼死犠牲者率(各地区における総犠牲者数に対する焼死犠牲者の割合)に着目すると,上位2地区においては,焼死が支配的であった.溺死が支配的という全体傾向と比較すると,同2地区は特徴的な傾向を示した.津波火災外力として,延焼率や延焼面積比を用いて,焼死犠牲者率との関係を検討した結果,両者の間には正の相関関係が確認された.
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件)
Journal of Japan Society of Civil Engineers, Ser. B2 (Coastal Engineering)
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