研究課題/領域番号 |
20K15002
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研究機関 | 北陸先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
郷右近 英臣 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 准教授 (10757777)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 災害対応 / リモートセンシング / 意思決定 / 洪水災害 / 機械学習 / 合成開口レーダ / ドローン |
研究実績の概要 |
本プロジェクトの目的「災害リモートセンシングにより得られた知見を現場で効果的に活かしていくための方法論」の解明を目指し、2年目の研究実施計画としては、地方自治体の災害時の意思決定に必要な情報が何かということと、リモートセンシングデータの活用方法について検討を行うことを課題として設定した。
その課題を解決すべく、最初にリモートセンシングの地方自治体災害対応業務への活用可能性に関する調査を実施した。具体的には、石川県能美市地域防災計画(一般災害対策編・3章災害応急対策計画)を業務主体・災害対応業務のマトリックスへ分解し、リモートセンシングにより効率化が期待される災害対応業務のタスクを選定することで、各災害対応業務におけるリモートセンシングの利用可能性の割合を計算した。その結果、「気象情報の発表」や「災害情報の収集・伝達」、「救助・救急活動」の業務において、8割以上の業務にリモートセンシングが貢献できる可能性を確認することができた。さらに、3章災害応急対策計画に記載の38項目の業務のうち13項目では、その項目中のタスクの半数以上がリモートセンシングの活用で効率化が図られる可能性があるということがわかった。これらの情報をもとに、リモートセンシングデータの新しい活用方法について検討を行った。
また、初年度に取り組んだ「リモートセンシングによる被害把握技術の高度化」に関連する研究として、洪水被災地を対象として建物域における浸水の有無を推定する技術の高度化に取り組んだ。本研究成果については、2022年度の国際学会にて発表を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年目の研究実施計画として掲げていた、地方自治体の災害時の意思決定に必要な情報が何かについての検討と、リモートセンシングデータの活用方法についての検討については、石川県能美市の災害対応業務分析の結果をもとに行うことができた。検証が不十分な点については3年目に課題として取り組む必要があるものの、現時点の進捗としては概ね順調であると考えられる。また、初年度の研究の高度化にも取り組むことができており、これについては当初の計画以上の成果を得られていると考えられる。これらを総合し、「(2)おおむね順調に進展している。」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
3年目は当初の計画どおり、初年度と2年目の研究成果を統合することでリモートセンシングを活用した災害時の意思決定支援モデルを新しく構築する。具体的には、これまでに取り組んだ衛星画像データ・ドローン画像データによる被害推定のアルゴリズムを、GIS上で自動的に解析できるように実装するとともに、地方自治体の職員のご意見も頂戴しながら、そのアップデートを図っていく。その過程で、2年目に検証が不十分であった「リモートセンシングの活用方法」に関する課題にも取り組む。また、それらを自治体の業務の中に組み込む方法論についても、2年目に取り組んだ業務分析の結果をもとに検討を行い、既存の災害対応業務のうち、どの部分に開発した技術を適用可能かを検討・提案することを目指す。
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