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2022 年度 実施状況報告書

災害時に渋滞位置を即時予測する手法の開発:災害に強い道路ネットワーク構築へ

研究課題

研究課題/領域番号 20K15004
研究機関国立研究開発法人理化学研究所

研究代表者

楳本 大悟  国立研究開発法人理化学研究所, 計算科学研究センター, 研究員 (80812883)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード交通流 / 災害 / 社会シミュレーション / 計算社会科学
研究実績の概要

昨年度は前年度に引き続き、シミュレーション環境の構築をさらに進めた。前年度に阪神高速上でシミュレーションを実行したところ、ネットワークに複雑性が乏しく経路選択に自由度がないため、シミュレーションにおいて一般的に行われるイテレーションが不要となり、現実に見られるような複雑性が再現されないことが判明した。このため、シミュレーション領域を近畿全域に拡張し、仮想化して富岳上で実行可能とした。しかし、現実に近い自動車を発生させてシミュレーションを実行すると計算量が膨大となることが判明したため、より計算量が軽量となる別のフレームワークを検討した。
結果、自動車交通ではなく神戸市中心部に領域を限定した歩行者交通であれば自動車交通で見られるようなネットワークの複雑性を担保しながら計算量が現実的な時間で実行可能となることがわかった。この歩行者シミュレータを実行すると、試行した中では交通状況の改善には信号の除去が最も効果的であること、経路を指定して分散することもボトルネックの解消に効果的であることがわかったほか、全エージェントの避難完了までの時間が各変更に伴う定数の積の形で記述できることがわかった。
上記の結果は、道路ネットワーク全体の流れの効率がこれら政策によってコンダクタンスのような定数によって記述できることを示唆する。AROBおよびネットワーク生態学研究会にて発表したところ、前者にてセレクションされたため、論文として投稿し出版準備中である。
加えて昨年度末にはCOVID-19感染状況が改善したため、学会参加などにより当初から目標としているエージェントシミュレーションからマクロスコピックなシミュレーションへの置き換えの実行のための調査を開始できた。その結果、FET・抵抗を用いて交通容量を表現可能なネットワークモデルを構築できることに気づいたため、その可能性に関する内容を投稿・発表準備中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

歩行者シミュレーションに着手したことにより、ODに大きな偏りがあるとボトルネック箇所も大きく変わることが判明した。適切なODが入手可能かつ、シミュレーション時間が現実的な範囲に収まる地域に対象を絞る方針が適切であることが明確となった。その点で、歩行者シミュレーションに関しては携帯電話データを根拠とする妥当なODが入手可能であり目的にも合致しているうえ、現実的な計算時間で完了可能なため理想的であるが、自動車交通をそのまま実行可能な状況を再現できることが望ましい。ただし、分析対象として歩行者を用いて災害回避・ネットワークの非効率性について論じることができる土台は整っており、これに付随する結果も得られ始めていることからおおむね順調であると評価する。

今後の研究の推進方策

歩行者ネットワークの構築には成功したが、前年度までに対象としていた自動車交通ネットワークとは地図の形式が異なるため、新たに処理・分析手法を確立する。また、自動車交通と同様にマルチケースシミュレーションを実行し始めており、特徴抽出を試行し、結果が出始めている。これをさらに続行する。また、適切な自動車交通ODが存在する限定された都市区域がないか探索し、検討する。

次年度使用額が生じた理由

COVID-19の引き続く流行により、計画していた旅費の支出が少額に留まったため。以降はひきつづき大規模シミュレーションの実行により大幅に増大する可能性のあるデータ格納場所、およびその解析に用いる計算機のほか、今年度からほぼ可能となった学会参加費および論文投稿費として使用する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Urban scale pedestrian simulation in Kobe City center2023

    • 著者名/発表者名
      Daigo Umemoto
    • 学会等名
      AROB-ISBC-SWARM 2023
    • 国際学会
  • [学会発表] 神戸市中心部における都市スケール歩行者シミュレーション2023

    • 著者名/発表者名
      楳本 大悟
    • 学会等名
      ネットワーク生態学研究会

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公開日: 2023-12-25  

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