研究課題/領域番号 |
20K15008
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
岡村 健太郎 近畿大学, 建築学部, 講師 (50737088)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 三陸 / 災害復興 / 津波 / 漁村 / 高台移転 / 近代復興 |
研究実績の概要 |
本研究では二つの目的を掲げており、一つは、昭和三陸津波後の復興における「漸進的復興」の実態を明らかにすることである。もう一つは、東日本大震災における復興の問題点およびその要因を「急進的復興/漸進的復興」の観点から明らかにすることである。また、研究実施計画においては、初年度においてまず研究対象全体を対象とした情報整理を行ったうえで、具体的な調査対象となる集落を選定し、基礎的な資料の収集や情報の整理を行った。 そのうえで、二年目において実地調査を計画し一部実行したが、Covid-19の影響で本格的な実地調査を行うことは難しいと判断した。今後においてもCovid-19の影響はしばらく続くことが想定されるため、やむなく本研究では基本的には文献調査をベースとした研究手法にシフトすることとした。また、調査対象についてもこの状況下で新規の集落で調査を行うことは難しいと判断し、これまでの調査の過程で訪問し部分的にインタビュー調査などを行ってきた経緯により一定の知見を有している集落を対象とすることとした。具体的には大船渡市綾里砂子浜、陸前高田市小友町三日市、大槌町浪板を対象とした。そこで、新たに対象とした集落について、既往研究や郷土資料、過去の津波災害時の報告書類、各種地図の収集・整理を行った。そのほか、災害復興史のなかに、東日本大震災を含む三陸の津波災害からの復興を位置付けるべく、近代日本の各種災害時における土地区画整理事業に関する既往研究や資料を整理した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の対象となる三陸沿岸地域はCovid-19が比較的軽微であり、それゆえに都市部との接触を伴うインタビュー調査はアポイントの段階で断られるケースが続出した。そこで前述したように、Covid-19の影響を考慮し、調査方法および調査対象を計画時から変更した。計画の立て直しを行うとともに、新たに対象とした大船渡市綾里砂子浜、陸前高田市小友町三日市、大槌町浪板の3集落について資料収集を行った。ただ、全く新規の集落ではないということもあり、すでに収集していた資料なども活用しつつ、文献調査を中心とした作業を十分に進めることができたと考えている。同時に、前述した近代日本の災害時における土地区画整理事業に関する既往研究や資料を整理する作業を進めた。当初想定からは若干遅れていると言わざるを得ないが、十分に挽回可能なペースであると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後もCovid-19の状況が読めないなかで、基本的にはインタビュー調査や実測調査などの実地調査は行えないものと想定し、文献調査をベースとした研究方法に移行することとする。具体的には、土地台帳および土地台帳付属地図の分析により、各津波災害前後の住戸の移動や宅地・道路の整備状況など、昭和三陸津波後の集落の変容を分析する。東日本大震災後についても同様に、各種報告書や震災前後の地図分析により復興プロセスを明らかにする。そのうえで、「漸進的復興」と「急進的復興」の関係を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
Covid-19の影響により、現地調査ができなかった分旅費の支出ができなかった。文献調査をベースとした研究手法にシフトした分、地図や報告書、土地台帳関連の資料の購入費に充てていくとともに、状況が許すようであれば現地調査も行っていきたいと考えている。
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