本研究は、密度汎関数理論に基づく第一原理計算データをもとに作成した機械学習原子間ポテンシャルを用いて、水素による材料劣化機構を原子スケールから明らかにすることを目指したものである。具体的にはまず、アルミニウム中での水素拡散の予測精度を検証し、その後、水素の原子核の量子効果を考慮した動的計算を行った。さらに、比較的大規模な計算モデルを用いた分子動力学計算による引っ張り試験を実施し、アルミニウム中において水素が凝集することで材料破壊を促進するという結果を得た。さらに、アルミナ-アルミニウム系についても解析を進め、界面近傍における水素挙動について予備的な知見を得た。
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