本研究前半では、ナノ双晶をもつY2O3安定化ZrO2 (YSZ) に対してマイクロ力学試験を実施することで、双晶ドメインの核形成および界面移動によって亀裂進展を抑制する強靭化機構を直接観察することに成功した。研究後半では、強電場下での「フラッシュ処理」を施したセラミックスから当初想定していなかった弾性軟化挙動を発見し、この現象の理解へと方針転換を行った。フラッシュ処理を施した複数の酸化物セラミックス (3YSZ、8YSZ、TiO2) において、試験速度に依存した弾性軟化挙動を確認することができた。これらの挙動は、強電場下で導入された点欠陥の可逆運動による非弾性現象に由来すると考えられる。
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