本研究では次世代パワー半導体として期待されるが熱伝導率の低い酸化ガリウムを、固体中最大の熱伝導率をもつダイヤモンド放熱からなる基板と直接接合する技術を達成した。 これら表面を水酸基(-OH)にて官能基化し、その表面同士を重ね合わせ、その後200-300℃にて熱脱水反応させることで、酸化ガリウム基板とダイヤモンド基板が直接接合できることを示した。他の接合手法と異なり、今回開発した手法は実施容易な大気中工程で直接接合が得られるという特徴を持つ。 界面の電子顕微鏡観察により、酸化ガリウム結晶とダイヤモンド結晶が材料間の非晶質層1 nm厚以下で接合できていることが分かった。この非晶質層は材料間の熱・電気的伝導を阻害するが、今回数原子レベルまで極薄化できた。これにより酸化ガリウムデバイスからの効率的な放熱や、異種材料界面を用いた新規デバイスの実現が期待できる。 これを放熱構造に応用し、酸化ガリウム薄膜をダイヤモンド放熱基板と直接接合することで、酸化ガリウム基板単体よりも通電時の発熱を抑えることができた。これにより酸化ガリウムデバイスからダイヤモンド放熱基板への効果的な放熱が可能になり、酸化ガリウムからなる省エネデバイスの産業化に貢献できる。 さらにn型酸化ガリウムとp型ダイヤモンドを直接接合することで、高い整流比をもつpnジャンクションが形成できることも分かった。これにより将来的に異種材料界面を用いた新規ヘテロデバイスの実現が期待できる。
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