研究課題/領域番号 |
20K15045
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
小林 竜也 群馬大学, 大学院理工学府, 助教 (00847486)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | マルチマテリアル / 異種材料接合 / めっき / CFRTP / ステンレス鋼 / PA6 / 引張せん断試験 |
研究実績の概要 |
本研究では、三次元構造の特殊形状めっき膜を用いた金属材料と炭素繊維強化熱可塑性プラスチック(CFRTP)との異種材料接合技術の確立を目指す。初年度は、特殊形状めっき膜の形成が可能なNi-Cu合金めっき浴を用いてめっき膜形状に及ぼす因子を明らかにするとともに、ステンレス鋼(SUS304)とCFRTPの母材樹脂として用いられるポリアミド6(PA6)との接合強度に及ぼすめっき膜形状の影響を調査した。 Ni-Cu合金めっき浴中のスルファミン酸ニッケルと硫酸銅の濃度比(Ni/Cu比)およびめっき条件を変化させたときのめっき膜形状の変化を評価した。評価の結果、Ni/Cu比150~450:15(g/L)、めっき電流密度10~100 mA/cm2のとき、樹状のめっき膜が形成されることを確認した。さらに、めっき電流密度10 mA/cm2において、浴中のスルファミン酸ニッケル濃度が増加することで樹状めっきの幹部分が太くなることが明らかとなった。 次に、特殊形状めっき膜を付与したSUS304とPA6を加熱加圧によって接合して接合試験片を作製した。この接合試験片について、ISO19095に準拠した引張せん断試験により接合強度を評価した。評価の結果、浴中のスルファミン酸ニッケル濃度が高く、めっき電流密度が低いほど接合強度が高い傾向を示した。特に、Ni/Cu比450:15、めっき電流密度10 mA/cm2の条件で生成しためっき膜を用いて接合した試験片の平均接合強度は17 MPaであり、今回評価した条件の中で最も高い値が得られた。引張せん断試験後の試験片について破面観察したところ、破壊形態は界面破壊であり、き裂はPA6と樹状めっきを進展していた。これより、浴中のスルファミン酸ニッケル濃度が高いことで樹状めっきの幹部分が太くなり破断しにくくなるため、結果として接合強度が高くなることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
特殊形状めっき膜の形状について、Ni-Cu合金めっき浴中のNi/Cu濃度比およびめっき条件を変化させたときの影響を明らかにし、SUS304/PA6の接合強度への影響を見出すことができた。さらに、SUS304とCFRTPの接合についても評価を実施し、SUS304/PA6と同等の接合強度が得られることを確認した。現在は当初の計画通り、SUS304/CFRTPおよびアルミニウム合金/CFRTP構造における接合強度の評価を開始し、めっき生成条件および接合条件と接合強度の関係について評価を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
特殊形状めっき膜を付与したSUS304とPA6を加熱加圧によって接合したとき、PA6内部にボイドが発生しており、これが接合強度の低下をもたらすことが判明している。原因は加熱によるPA6の熱分解であるため、今後、接合条件の適正化を図りボイドレスにして、SUS304/CFRTPおよびアルミニウム合金/CFRTP構造で接合強度の向上を目指す。また、マルチマテリアル接合で問題になるガルバニック腐食の評価に着手する。具体的には、電気化学的手法により特殊形状めっき膜を付与した金属とCFRTP(炭素繊維)におけるガルバニック電流の測定を行い、直接接合構造との差異を比較評価する。
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