前年度まで、主に溶融LiCl系浴を利用し、フッ素イオンがネオジムイオンの電気化学挙動に及ぼす影響及び鉄イオンがネオジムイオンの電気化学挙動に及ぼす影響を調査した。本年度は、前年度まで得られた知見に基づいて、主にフッ素イオンがネオジムイオンの電気化学挙動に及ぼす影響を電気化学測定手法で定量的に分析し、さらにNd-Fe合金を目指す連続的な電解を行った。 1)フッ素イオン影響の定量的な分析:溶融LiClにおいて、所定なネオジムイオンに対して、1倍から12倍までのフッ素イオンを添加し、矩形波ボルタンメトリー(SWV)を用いてネオジムイオンの電気還元挙動を確認した。フッ素イオンの添加によって、Nd(III)+e->Nd(II)に該当する還元電流は徐々に小さくなり、6倍になると、ほぼなくなることが分かった。そのさい、Nd(II)+2e->Ndの還元電位は少し負の方向にシフトすることが見られた。さらに、Gaussian関数を用いてSWV結果を解析したところ、フッ素イオンを6倍以上添加した反応の交換する電子数はほぼ3であり、その反応はNd(III)+3e->Ndになったことを示唆する。 2)Nd-Fe合金を目指す連続的な電解:溶融LiCl-5mol%NdCl3を電解浴とし、電解直前にFeイオンを0.04-0.2mol%添加し、定電流電解を行った。電解の際、Feイオンの消耗速度に応じて、Feイオンを連続的に添加した。電解の結果として、金属光沢を有するNd-Fe合金を得られた。SEM結果によりますと、Ndリーチの相とNd17Nd5とみられる化合物で構成されることが確認でき、合金が冷却の際偏析したと考えられる。
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