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2020 年度 実施状況報告書

要求駆動型合理的蛋白質設計技術が切り拓くナノ分子標的薬の創製

研究課題

研究課題/領域番号 20K15096
研究機関大阪大学

研究代表者

二井手 哲平  大阪大学, 情報科学研究科, 助教 (20802705)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2022-03-31
キーワードファージ提示法 / タンパク質工学 / ナノ材料
研究実績の概要

本研究では、低分子医薬品から成る有機ナノ結晶とがん抗原認識抗体を組み合わせることで、高濃度の薬剤を疾患患部特異的に送達できる新しい医薬フォーマットの開発に取り組んでいる。本年度は主に、再結晶法による抗がん剤結晶の作製、ファージ提示法と呼ばれるファージウイルスを用いた人工選択操作による抗がん剤有機結晶の表面に結合するペプチド分子の取得、取得したペプチドの化学合成とその結合機能評価を行なった。
まず、提示させるペプチド鎖長を4から12まで変化させたファージライブラリーを作製した。ペプチド鎖長を変化させた9種類のファージライブラリーはそれぞれ10の8乗から9乗の配列多様性を持つファージ集団として調製できた。
次に、結晶化させた難水溶性の低分子薬剤と作製したファージライブラリーを混合し、バイオパニングによる選択操作を実施した。洗浄回数や洗浄溶媒を変化させた4ラウンドの選択操作ののち、ファージ集団のDNA配列を解析したところ、7種類のペプチド配列が濃縮されていることが分かった。
最後に、7種類のペプチドを合成し、有機結晶表面への結合力を調査した。その結果、最も強く結合するもので99.7 nMの解離定数を示したことから、低分子薬剤から作製した結晶に結合するペプチド分子の取得に成功したと考える。
以上のことから、次年度の研究計画に繋がる成果が得られた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究は、低分子医薬品とがん細胞特異的に結合する抗体を組み合わせることで、高濃度の薬剤を疾患患部特異的に送達できる新しい医薬フォーマットの開発を目指している。本年度は当初の計画通り、再結晶法による抗がん剤結晶の作製、様々な鎖長のペプチドを提示したファージライブラリーの作製、抗がん剤結晶とファージライブラリーによる抗がん剤結晶結合ペプチドの人工選択操作、取得したペプチドの結合能評価を実施し、狙い通り標的の有機結晶に結合できるペプチドの取得に成功した。本年度の成果は、次年度予定している計算機を用いたde novoタンパク質設計と薬効評価に繋がるものであり、おおむね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

次年度も計画通り、がん抗原認識抗体からの相補性決定領域の構造抽出、計算機による人工タンパク質設計、ファージ提示法または酵母表層提示法による人工タンパク質のスクリーニング、薬効評価を実施する。がん抗原認識抗体としては、抗原との共結晶構造が明らかとなっているタンパク質を利用する。具体的には、CD20に結合するリツキシマブやHER2に結合するトラスツズマブを利用する予定である。これら抗体の相補性決定領域とタンパク質データバンクに収録されている様々なタンパク質の断片構造をRosettaソフトウェアを用いて組み合わせ、人工タンパク質を作製する。次いで、ファージまたは酵母を用いた分子提示法により、結合機能を持つタンパク質をスクリーニングする。最終的に、貧溶媒晶析法により抗がん剤ナノ粒子上に抗原特異的人工タンパク質が固定化されたナノ分子標的薬の抗がん活性を評価する。

次年度使用額が生じた理由

ファージ提示法により取得されたペプチドの詳細な評価を基に成果をまとめる予定であったが、現在の状況を鑑み計算機を用いた人工タンパク質設計に重点をおいた研究に一部研究計画を変更した。そのためペプチドの詳細な機能評価が次年度に持ち越され未使用額が生じた。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 国際共同研究 (1件)

  • [国際共同研究] ノースカロライナ大学チャペルヒル校(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      ノースカロライナ大学チャペルヒル校

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公開日: 2021-12-27  

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