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2020 年度 実施状況報告書

酸素ナノ気泡による効率的なヒト細胞大量培養法の確立

研究課題

研究課題/領域番号 20K15102
研究機関愛知医科大学

研究代表者

福重 香  愛知医科大学, 医学部, 助教 (30805023)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードナノ気泡 / ウルトラファインバブル / ガスデリバリー / 細胞大量培養 / 酸素 / iPS細胞 / HUVEC
研究実績の概要

本研究では、酸素ナノ気泡のヒト細胞培養への有効性を、ヒトiPS細胞およびヒト正常細胞の代表的な細胞として細胞培養実験に頻用されるヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を用いて検討し、大量培養への展開を試みる。本研究で作製する培養液は、平均粒子径が約100 nmの酸素ナノ気泡を均一に分散する培養液であり、高濃度に酸素を含有保持している。
はじめに、通常の培養フラスコを使用した接着培養により評価する。
高濃度酸素ナノ気泡を含有する培養液を用いたヒトiPS細胞の未分化維持フィーダーフリー接着培養を行った。酸素ナノ気泡含有培養液を用いた場合、通常培地と比較して、オートセルカウンターによる細胞数の評価では、約20%の増殖がみられた。また、MTTアッセイによるミトコンドリア活性評価においては、約5%の増加がみられた。iPS細胞の培養では、効率的に細胞を増殖させることのみならず、未分化能を維持した培養が求められる。そのため、iPS細胞の未分化能を評価するアルカリフォスファターゼ活性評価および、分化マーカー(TRA1-60、SSEA4など)のフローサイトメトリー解析を行った。その結果、酸素ナノ気泡による未分化維持への影響は見られず、品質・安全性に問題がないことが示唆された。
HUVECの培養については、現在検討中であるが、概ねヒトiPS細胞と同様に、酸素ナノ気泡含有培養液の有効性を示す結果となっている。
今後、HUVECを用いた検討を続けるとともに、iPS細胞の分化実験や種々の市販培地を用いた汎用性評価を行ったのち、大量培養への展開として、浮遊培養法や多層培養法への応用検討を進めていく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナウイルス感染拡大の影響により、年度当初の研究進捗が滞ってしまった。
本年度中に、ヒトiPS細胞およびHUVECでの接着培養による増殖評価を終える予定であったが、HUVECについては未だ培養法の検討段階である。

今後の研究の推進方策

引き続き、酸素ナノ気泡含有培養液のHUVEC培養への有効性評価を行う。
これと並行して、当初の予定通り2021年度中に、酸素ナノ気泡がiPS細胞の分化能へ与える影響を評価する。酸素ナノ気泡を含有する培養液で培養したヒトiPS細胞を、分化誘導因子を用いて目的の細胞に分化誘導し、iPS細胞の分化能への影響を検討する。現段階では、血管内皮細胞への分化誘導による評価を予定している。
続いて、接着培養における汎用性を明らかにするため、数種の一般的なiPS細胞用培養液を用いた評価も行う。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染拡大の影響により、年度当初の研究進捗が滞ってしまった。
2021年度においては、当初の予定通りのiPS細胞を用いた検討を進めつつ、遅れているHUVECを用いた培養検討を並行して行っていく。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 産業財産権 (1件)

  • [産業財産権] 多能性細胞の未分化維持培養用組成物、多能性細胞の未分化維持培養用培地、 多能性細胞の未分化状態での維持培養方法、および多能性細胞の製造方法2020

    • 発明者名
      畑山直之、内藤宗和、平井宗一、福重香、坂上茂樹
    • 権利者名
      愛知医科大学、住友精化株式会社
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      2020-123653

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公開日: 2023-12-25  

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