研究実績の概要 |
本研究の目的は、本研究の開発した DPA G4 (Dendritic Phenyl Azomethine) デンドリマーを鋳型としてPtをベースにした「典型元素 (In,Sn,Bi) との組み合わせから高活性高耐久性に優れた触媒性能を持つ部分酸化Pt多元合金サブナノ触媒」を実現し、そのメカニズムを明らかにする。 本研究は、電子陽性を示す典型元素のリガンド効果を利用してPtの電子状態をチューニングする手法を考案し、合金サブナノ触媒の活性・耐久性を向上する。本触媒は、工業的に多段階酸化変換プロセスを要するシクロヘキサンから6,6-ナイロンの原料の工業的重要中間体であるアジピン酸(AA)への直接酸合成の研究を行い、AAの収率向上を目指す。 本年度は、Ptをベースにした二元素 (PtCu, PtRu, PtPd, PtRh, PtFe, PtSn, など)を合成し、触媒としてO2 1.5 MPa, 160℃, 無溶媒の条件でシクロヘキサン酸化反応を行った。その結果、Pt4Sn8 に元素触媒が最も高い活性を示した。ZrO2, MgO, SiO2,等の酸化物担体を検討した結果、SiO2担体はシクロヘキサン酸化反応に最も高い耐久性を示した。さらに,二元素を用いて140 ℃で経時変化反応を行うとPt4Sn8は40 hまで高活性を維持し,Pt4Cu8/SiO2は71 hまで高い耐久性を示した。高活性要素のPtSnと高耐久性の要素Cuを用いて合成したPt5Sn8Cu6三元素合金サブナノ触媒は,低温130 ℃,長時間反応71 h の条件で二元素Pt5Sn14やPt5Cu14よりも高い活性を示した。結果として、Pt5Sn8Cu6三元素合金サブナノ触媒を用いて穏和な条件で酸素を酸化剤として直接酸化反応で40%以上のAAの収率を得られた。
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