従来の溶液中での配位子保護金属クラスターの吸収・発光などの諸物性の評価は金属クラスターの構造が溶液中で保たれていることが前提であった。しかしすべてのクラスターが必ずしもその構造を保っているわけではなく、配位子やイオンが結合・解離の動的平衡状態にあることが研究代表者らによって明らかにされた。研究代表者らは溶液中での平衡状態を発光解析の中に組み込むことで各平衡種の励起状態特性の評価法の確立に成功した。これにより配位子の結合解離平衡が金属クラスターの励起状態に与える影響を明らかにすることができ、望みの励起状態特性を有する金属クラスター創製の指針を提示することが可能になる。
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