研究課題/領域番号 |
20K15111
|
研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
榎本 航之 国立研究開発法人理化学研究所, 創発物性科学研究センター, 基礎科学特別研究員 (50823556)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | コロイドナノ結晶 / 半導体材料 / 量子ドット / コロイドゲル |
研究実績の概要 |
疎水性アルキル修飾した硫化カドミウム (CdS)コロイド半導体量子ドット (Colloidal Semiconductor Quantum Dot, 略 CS-QD)がトルエン等の芳香族系有機溶媒中で、低濃度 (1 wt%)にも関わらず高い粘度増加を示すことを発見した。また、電子顕微鏡観察およびX線回折測定から規則配列を有する3次元高次構造を形成していることを明らかにした。本現象は球状粒子固有の等方的な相互作用では説明がつかず、添加剤およびテンプレートを使用することなくCS-QDゲルを得られる興味深い現象である。本年度は、CS-QDが疎水溶媒中で自己集合的に3次元高次構造体を形成する機構を検証した。貧溶媒による沈殿法や超遠心法など異なる精製方法を用い、得られる分散液のゲル化挙動を調べ、CS-QDの合成前駆体であるカドミウムテトラオレートの量が疎水性溶媒中のゲル化挙動に大きく影響することを発見した。本成果は、CdS CS-QDのみならず他のコロイド粒子を自己集合的に3次元構造体を形成させるための1つの手法となりえる。今後は、異方性光電物性の発現を目指し、高次構造体の1次元配向制御に取り組む。具体的には高磁場印加状態におけるCS-QDの自己集合やゲル状分散液のエレクトロスピニング法により1次元配列制御を検討する。その後、配向制御された材料の構造解析や光電物性の異方性を調査していく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的の1つであるCS-QDが疎水溶媒中で自己集合的に3次元高次構造体を形成する機構の解明をすることができたため。現在は、異方性光電物性の発現を目指し、高次構造体の1次元配向制御に取り組んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
異方性光電物性の発現を目指し、高次構造体の1次元配向制御に取り組む。具体的には高磁場印加状態におけるCS-QDの自己集合やゲル状分散液のエレクトロスピニング法により1次元配列制御を検討する。その後、配向制御された材料の構造解析や光電物性の異方性を調査していく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスにより研究計画通りに進捗しなかったため。 1次元配列材料の構造解析および光電物性評価装置や成果報告の予算として使用する予定である。
|