本研究では,近年確立された久保・ラッティンジャー理論を用いて,低次元熱電材料の熱電性能向上のための設計コンセプトを提示した.具体的には,1次元材料である窒素ドープカーボンナノチューブ(CNT)において,パワーファクター(PF)を最大化する最適な窒素ドープ量を予測し,さらにPFの最大値がCNTの直径の減少に伴い増加することを明らかにした.また,2次元材料である2層グラフェンに外部から垂直電場を印加することで,バンド端近傍でPFが向上することを定量的に評価した.最後に,外部電場などによりバンドの縮退を解くことで,大きな電気伝導率とゼーベック係数の両立が可能であることを示した.
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