研究課題
本研究は、2次元材料の最適基板として知られる六方晶窒化ホウ素(h-BN)の層間にゲルマネンを直接合成する手法を研究し、デバイス化によるゲルマネンの電子輸送特性評価を目的としている。初年度に引き続き、h-BNよりも試料が取り扱いやすいグラフェンを用いて、ゲルマニウム(Ge)薄膜の挟み込み構造(グラフェン/Ge/グラフェン)を作製し、加熱によるGeの結晶化を透過型電子顕微鏡(TEM)によるその場観察法を用いて研究した。初年度に確認したグラフェン層内でのGeのマイグレーション、核生成及び結晶成長に加えて、今年度は高温下(1000 ℃以上)で微粒子化したGe同士が合体する現象の観察や、Ge微粒子の原子スケールでの高倍率観察を行い、Ge微粒子の相が液体か固体かを焦点に解析を進めた。Ge微粒子の高倍率TEM像を二次元フーリエ変換すると、対称性を反映するスポットが存在するケースとしないケースがあることが分かった。一方で、Ge微粒子同士が合体する場合にはGe微粒子は大きく変形をするため、液体的な振る舞いをしていると言える。Ge微粒子の高温での相に関して結論を出すためには追加の検証が必要であるが、グラフェン層内でのGe結晶化に関する重要な知見が得られたと考えている。一方、均一な成膜手法の構築、および、層数決定の困難さから、Ge挟み込み構造の加熱でグラフェンやh-BN層内にゲルマネンを得るには至らなかった。しかし、代替案として進めた銀薄膜とh-BNの界面を利用する手法で、サファイアなどの絶縁体基板上にゲルマネンを形成することに成功した。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 4件、 招待講演 3件)
Advanced Functional Materials
巻: 31 ページ: 2007038~2007038
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表面と真空
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