研究成果の概要 |
本研究では、「擬フラット」と呼ばれる特異なバンド構造を持つことが理論的に予想されている、パイロクロア型酸化物A2B2O7(A=Sn,Pb;B=Nb,Ta)の薄膜化と、そのバンド構造に起因する量子物性の観測と制御を試みた。作製した薄膜試料は、良好な結晶性・化学組成を示したが、いずれも絶縁体であった。光学測定の結果、各化合物間のバンドギャップの傾向は、構成元素の原子軌道のエネルギー準位を用いて説明できた。第一原理計算で報告されているバンド構造に着目し、直接遷移と間接遷移のバンドギャップの差が、擬フラットバンドの「平坦さ」の良い指標となっていることを実験的に確認した。
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