本研究は,二次元NbO2超伝導層の全貌を明らかにする研究である。初年度には,本研究の第一の目標である"NbO2超伝導層が理想的である"ことが証明され,Science Advances誌に原著論文が掲載された。2年目には,第二の目標である"NbO2超伝導層の全貌を解明する"ことに取り組み,Physical Review B誌に原著論文が掲載された。最終年度である本年度ではそれらの結果が統一的にまとまり,以下の成果が得られた。 [総合的な考察] 本物質の超伝導ドームは磁気量子臨界現象として生まれた物性である可能性を示唆しており,重い電子系や銅酸化物などが示す非従来型超伝導と類似した特徴を有することが明らかになった。更に,近藤効果の関与など二次元三角格子系に由来する特徴も観測され,磁気フラストレーションの効果も関与したCooper対形成を示唆している。 これらの結果は,研究期間全体を通しての目標である"NbO2超伝導層を解明する"ことが完了したことを表している。本研究により,二次元NbO2超伝導層は新しい強相関超伝導の舞台となることが明らかになった。この内容は原著論文としてまとまっており,近日中に投稿予定である。
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