研究課題/領域番号 |
20K15177
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
多田 幸平 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 研究員 (70805621)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 密度半関数理論 / データ駆動型研究 / スピン混入誤差 / ジラジカル性 / 貴金属触媒 / 貴金属代替 |
研究実績の概要 |
開殻系の密度半関数理論計算(DFT計算)に含まれる誤差(スピン混入誤差)の影響を系の次元によらず検討する方法を確立した。これは、当初の計画通りである。開発手法を、表面で孤立した原子、1次元に組織化した原子、2次元に組織化した原子に対して適応することで、表面自己組織化における計算誤差の影響の変化を系統的に解明した。さらには、二次電池材料へ適用することで誤差の影響を最小限に抑えつつ検討を行える条件に関して検討を加えた。また、手法開発の段階において、開殻系の特徴量であるジラジカル性を、固体の一般的な電子状態計算手法(DFT/plane-wave計算)の結果から簡便に算出するスキームを見出した。次年度では、開発手法を貴金属触媒系へ展開していく。そのために界面相互作用が重要である触媒系(金触媒)に関して実験的研究を実施し、新たな特異界面構造を持つ触媒系を発見した。以上の結果を5報の論文としてまとめ、発表した。学会発表に関してはコロナウイルスの影響を鑑み、令和2年度は見送った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画では、令和2年度にスピン混入誤差の影響を次元を問わず検討できる手法を確立する計画となっていた。この計画目標を問題なく達成し論文化した。そして、表面での自己組織化による誤差の変遷も解明し論文化した。 上記に加え、開殻系の特徴量算出の新スキームの開発、二次電池材料への適用、新規機能性界面の発見、といった成果を上げることができた。したがって、当初計画以上に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
初年度(令和二年度)に発見した新たな機能性界面系(Au/Li4Ti5O12)への適用を進める。また、ジラジカル性算出スキームの精度検証と、表面系への適用を進める。これらに加え、共役系を有する錯体や有機分子の表面吸着系に関しても手法の適用を行っていき、データ駆動型の材料開発へつなげていく。
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