研究実績の概要 |
2光子顕微鏡は生体の深部までイメージングを行う事で、バイオ応用で重要な役割を果たす。しかし、奥行きを含める撮影領域と撮影スピードはトレードオフの関係を持つ。イメージングする対象のボリュームを維持しながら撮影スピードを向上するために、本申請では多平面同時スキャン、同時記録方法を提案した。 今年度は最終年度として、これまで行ったマルチ平面同時スキャン、同時記録方法を生体実験で活かした。生きたマウスの大脳皮質から奥行300μmまでの2平面で30個程の神経細胞を同時に照射すると同時に、その照射された神経細胞から放出するカルシウム等の蛍光シグナルをCCDイメージセンサーで100fpsの速度で同時に記録できることも確認した。これらの成果の一部はホログラフィック光刺激方法と合わせて、学術論文(D. Kato, X. Quan et al., Jove, 2022)で発表した。また国内外の学術会議で研究成果を発表した。 研究期間全体を通じて、実現方法の確立から実証実験、生体実験の順で概ね計画通り実行することができた。指標として散乱が少ない条件では500μmの深さを3平面に分けて同時記録することができ、in vivoでは300μmの深さを2平面に分けて同時記録することができた。本研究の成果は3件の学術論文、4件の国際会議、2件の国内会議で発表した。 対面で国際交流が難しい背景からボリュームホログラムを使う代わりに、空間光変調器を用いて検証を行った。今後回折効率を向上し、さらに多くの細胞数を達成する為に、引き続きボリュームホログラムを使っての研究が必要である。
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